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2017-11

ボストンGP-178のタッチを改良 - 2017.11.14 Tue



ボストンピアノはスタインウェイ社のセカンドブランドとして販売されていますが、製造はカワイなのでカワイ特有の問題も有り、音色は悪くないのですが、私の店に置いた場合は他のピアノとどうしても比べてしまうので、もっさりして重めのタッチが気になります。
そこでカワイのグランドピアノの改良と同じ要領で改造です。まずはダンパーバックアクションを取り外します。

gp178_2.jpg

カワイのグランドの場合もこれと同じで、ダンパーレバーの鉛の量が多く、これがタッチの重さに関係しています。
まず上の写真のように鍵盤の後ろにかかる重量を測ります。

gp178_3.jpg

ワイヤー付きのダンパーヘッドの重量測りました。

gp178_4.jpg

今回は上の写真のように鉛の量を減らして木製プラグで穴埋めをしています。
オリジナルでは1keyから20keyまで鉛は3個入っていましたが、これを2つのセクションに分け、1keyから13keyは奥側の鉛を抜いて、14keyから20keyは2番目の鉛を抜いています。(1~13は1本張りの部分です。)

次にオリジナルでは21keyから28keyは手前側に鉛が2個入っていましたが、この部分を3つのセクションに分け、まず21keyから26keyは手前から2個目の鉛を抜きました。(このピアノは26ベースです。)

中音部の最初の27keyと28keyはフレームの関係でダンパーヘッドが斜めにカットされていてヘッドの重量も軽くなっているのでその分だけダンパーレバーの鉛の量を増やして鍵盤の後ろにかかる重量が揃うようにしました。
0.1g単位で測れるデジタルスケールで測ってみると中音部の最初の27keyはベース最後の26keyよりも2g軽く、28keyは同じく26keyよりも1gほど軽かったのでデジタルスケールで測りながら削っていきましたが、削りすぎたところは削りカスの鉛や小さなワッシャーをスーパーXの白色の接着剤を使ったので白く映っています。

同じような要領で高音部まで続けて鉛の量を減らす事で、ダンパーペダルを踏んだ時と踏まない時のタッチが極端に変わらないように改良しました。

年数の経ったグランドピアノに有りがちな問題としてダンパーレバーフレンジのスティック(動きが鈍くなる事)とウイペンフレンジのスティックが有ります。
片やダンパーレバーの重さが、また片やウイペンの自重が有る為に摩擦抵抗が大きくても何とか動くので、スティックが有ることに気が付いていない技術者を多く見受けます。
これらはフレンジスクリューを1個1個外して確認し、スティックが有る場合はセンターピンを交換してトルクを調整する必要が有ります。これらを調整してから鉛の量を少し減らしてやるとスッキリとしたタッチになります。



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ヤマハの古いNo.G3の張弦の改良について - 2017.11.07 Tue

全国のピアノ技術者から電話での技術的な問い合わせをよく頂きますが、今回はヤマハの古いグランドピアノNO.G3の張弦についての意見を求められました。

私も昔はヤマハのNo.G2やNo.G3などの古いピアノも木の材質が良いのでオーバーホールの素材として改造していたので、その頃の資料(弦の番手変更だけでインハーモニシテイーを改良する方法)を教えたのですが、最近では私はその時代のピアノはオーバーホールの素材として使っていません。

私がオーバーホールに使っているのは、その後の昭和46年以降のグランド、できれば昭和48年から昭和53年の間のヤマハに限ってオーバーホールと改造を行っていますので、気になって今回改めて古いNo.G3のスピーキングレングスと弦の番手の資料から最適な弦番手を計算したのでそれを公開いたします。

というのも、昔は弦の太さを変更してインハーモニシティーを改良するしかなかったのですが、現代ではフランスのステファン・ポレロが弦の硬さの異なる5種類のピアノ線を発売しているのでこれを使う事で昔は不可能だった理想に近い物に改良できます。
ベース弦の巻き線の太さまで1本1本公開すると資料が大変なので今回は中音部から上の部分の裸線の部分に限って公開します。

弦の番手は全くオリジナルのままで、ピアノ線の種類を変えるだけですが、
*27キーから32キー・・・・・・・・・ポレロ弦のタイプ1
*33キーから37キー・・・・・・・・・ポレロ弦のタイプ0
*38キーから63キー・・・・・・・・・普通のレスロー弦
*64キーから88キー・・・・・・・・・ポレロ弦のタイプXM

これで理想的な弦番手になり弦の応力も理想的になります。

ただNo.G3は駒圧が間違っていて中音セクションは駒圧が低く、次高音部は適正で、最高音部は駒圧がかなり高い場合が多いので正しく駒圧を修正する必要が有りますので、駒圧を正しく計測し、弦枕を削ったり弦枕クロスの厚さを変えるなどの変更をして駒圧を修正してください。

なおフランス製のステファン・ポレロ弦については私のところで取り扱っていますので、必要でしたらお問い合わせください。



ニトロセルロースラッカーについて - 2017.11.05 Sun



これはドイツのクロー社製のニトロセルロースラッカーです。
シュタイングレーバー社ではこれを20倍に希釈してハンマーヘッドの防湿加工に使用しています。
そしてまた、これは4倍から5倍に希釈するとハンマー硬化剤になります。

IMG_1920.jpg

希釈には同じくクロー社のラッカーシンナー(ラッカー薄め液)を使いますが、この薄め液については揮発してしまう物なので、価格を考えると国内で手に入る市販のラッカー薄め液を使っても問題無いと思います。

IMG_1919.jpg

メーカーではハンマー付けをする前にハンマーをトレーに並べた状態で液をかけて防湿加工をしています。
今回は鳴りの少し不足気味のレーニッシュのアップライトに、15倍に希釈したニトロセルロースラッカーをアプリケーターを使って塗布する事で、防湿加工だけでなく少しハンマー硬化剤の効果も狙って15倍にしましたが、狙い通りフワついたタッチだったのがシッカリとしたタッチになり、音も前に出てくるようになりました。

IMG_1159.jpg

ラッカー系のハンマー硬化剤を使うと音が硬くなりすぎたり、チリチリという感じの音が気になり、ついついまたピッカーで針を刺してしまう方が多いようですが、そんな時はまずハンマー打弦点の弦に当たる部分の表面のツブツブをつぶすようなイメージで爪で引っ掻くと上品な音になり音が落ち着きますので、なるべくなら針では刺さない方が良い結果が得られます。
もしどうしても針を刺したいのであれば、上の写真の様な8本刺しのピッカーのように針の数の多いピッカーで打弦点表面を、突き刺すのではなく軽く突っついて硬いツブツブをつぶしていくイメージでやると旨くいきます。

1人で使うには1リットルは量が多いかもしれませんが、何人かの技術者仲間で分け合えば価格も手ごろになります。
白川ピアノのホームページの「部品と工具」のページでご確認l下さい。
鳴りの悪いカワイにもいいと思います。






1924年製NYスタインウェイMod.Mの共鳴雑音修理 - 2017.10.31 Tue



今までは全く雑音は出ていなかったのですが、あまり弾かれていないピアノなので鳴りを良くするために、少し前に東京から来たピアニストに弾き込みをしてもらったところ、低音部の最後の25キーと26キーの音だけ駒の部分で雑音が出るようになりました。
矢印の部分を上から抑えるとその雑音は止まるので、駒の下の部分での部分的な接着切れが出てきているのだと見当を付けました。

IMG_1907.jpg

スタインウェイやヤマハなどでは低音セクションの駒は中高音部の駒のように響板に直付けでなくて、上の図のように響板の中央に少しでも振動の位置を近づけようと下駄を履かせたような構造になっています。
構造が複雑になるほど不具合が起こる可能性は増えてきますので、この浮いている駒の真下の部分に寸法がピッタリ合うように厚さが8.5mmのブロック(上の車線部分)を差し込んで接着し、響板の下側から響板ボタン(下2か所の半丸の車線部分)を介して木ネジで止める事で駒の振動が響板に直接届くようにしました。
念の為に響板にくついている下駄の歯の部分も下から響板ボタンを介して木ネジで接着、固定して雑音を止めました。

出荷の準備が出来ました。 - 2017.09.29 Fri



お客様の意向により象牙鍵盤の漂白もせず、外装はそのままで古い感じを残したままの仕上げですが、出荷前にゴムボタンの交換や真鍮部品の研磨、ワックスがけなどしたら深い光沢が出てきました。
これはこれで風格が有っていいかもです。
ワックスはドイツのJAHN社が販売しているクラビキュラを使いましたが、ピカピカではなく深みのある艶が出ますした。




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Author:weissenbach
香川県で輸入ピアノ専門店と修理工房を営んでいる白川ピアノ調律所です。
ワーグナーが愛し、リストが人生の最後に探し当てた究極のピアノ・シュタイングレーバーピアノの日本輸入代理店です。

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